糞糞糞ネット弁慶

読んだ論文についてメモを書きます.趣味の話は http://repose.hatenablog.com

Gender Swapping and User Behaviors in Online Social Games(WWW 2013)読んだ

概要

論文(pdf)
ネトゲにおける Gender Swapping ,いわゆるネカマに関する分析論文.
これまでもネカマに関する研究は行われており,有用な知見が豊富にあるが,サンプリングバイアス,self-selection bias などが考えられる.また,これらの研究では実際の性別などの関係性などが考えられていない.
以降は Gender Swapping の事をネカマと書くが,正確な定義は複数アバターが所持できるゲームにおいて実際の性別と異なる性別のアバターを用いる行為を指す.

データ

Fairyland Online(English) Official Website
Fairyland OnlineというMMOにおける2003年3月から12月までのログ.
その中でも台湾に住む4512ユーザ,17610アバターに関するログについて分析.
このゲームで重要なのは,キャラクターの性別によって性能差が全く生じない事である.

属性データとネカマ

ユーザの属性とネカマについて分析.
地方/都心部,プレイする時間帯とネカマには関係は無い.年令分布を見るとピークが10歳から12歳のところに立っている.このゲームはかなり低年齢層に支持されているらしい.
歳をとったプレイヤーの方がネカマを行いやすい.これは心理的要因が働いていると考えられる(これ実際は年齢が高いプレイヤーほどアクティブであるという分析に引っ張られているのではないか).
また,アバターを多く所持しているユーザほどネカマ率が高.これはやりこんだプレイヤーがネカマによる利益を知っているからだと考えられる.

ゲーム内行動におけるネカマ

ネトゲにおける代表的な行動はレベル上げ,個人チャット,フレンド,トレードの4つである.これらについてネカマとの関係を見る.

レベルアップとネカマ

まず,女性プレイヤーより男性プレイヤーの方がレベルアップに費やす時間が短い.これは男性の方が「達成型」であるという既存研究とも合致する.
興味深いのは,プレイヤーの性別にかかわらず,男性アバターの方が女性アバターよりレベルアップに費やす時間が短い事である.これは,女性が男性アバターを用いる事により,ゲーム内で男性的に活発になっている事を意味している.

Whisper(個人チャット)とネカマ

このゲームではどのプレイヤーにも個人チャット(Whisper)を送ることができる.これとネカマの関係を分析する.
35回以上続いた個人チャットを対象に分析する.
女性プレイヤーの方が会話が長く続いている.また,同性のアバター同士より,性別が異なるアバター同士の方が会話が長く続いている.

フレンド機能とネカマ

フレンド機能とネカマの関係を見る.
アバターの性別を問わず,男性プレイヤーは男性プレイヤーと,女性プレイヤーは女性プレイヤーとフレンドになりやすい.プレイヤーが自分の性別を明かしていないことから(こう言い切る根拠が判らない),無意識に異性のプレイヤーを避けていると考えられる.

トレードとネカマ

トレード機能にはアイテム同士のトレードと,アイテムとゲーム内通貨によるものがある.今回はアイテムの価値を定量化したいのでアイテムとゲーム内通貨のトレード,すなわち個人売買に絞る.
今,「プレイヤーの性別.アバターの性別」と記述し,全性別の組み合わせ(M.M,M.F,F.M,F.F)について,ある組み合わせがアイテムを売った価格からそのアイテムの平均価格を引き,それを取引益として考える.
これを見ると,最も利益を得ているのは女性プレイヤーが女性アバターを使っている場合である.また,総じて女性アバターを用いた方が利益を得る傾向にある(すなわち,男性プレイヤーが女性アバターを用いる利益が生じる).

姫プレイの話とか期待してたけど無かった.