糞糞糞ネット弁慶

読んだ論文についてメモを書きます.趣味の話は http://repose.hatenablog.com

Branded with a Scarlet “C”: Cheaters in a Gaming Social Network(WWW 2012) 読んだ

Branded with a scarlet "C"

概要

Steamにおけるチーター(Cheater)についての分析.70万のチーターのうち1万アカウントを調査.主な発見は

  • ソーシャルネットワーク上において,チーターは普通のプレイヤー(fair player)とかなり区別がつきにくい
  • チート行為はソーシャルに伝染する.普通のプレイヤーXにチーターの友人がいるかどうか,また,Xの友人におけるチーターの割合はXが今後チーターになる可能性に比例する.
  • チーター認定によるソーシャルな刑罰が存在する.チーターは一度チーター認定されるとプロフィールの項目をより非公開にする.そしてチーターは普通のプレイヤーと比較すると友人を失いやすい.

データは提供されたのかと思ったらクロールしたと書いてあって驚いた.

チーターは普通のプレイヤーとかなり区別がつきにくい

直感的にはチーターはチーター仲良くしてそうだけど,よく考えてみるとチーター同士で遊んだって利益があんまりない(俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEできない).なのでチーター同士はあまり繋がらなさそうだと考えられる.
友人関係の分布などを見るとチーターと普通のプレイヤーは区別できない.チーター同士がつながってるかどうかについては,普通のプレイヤーの70%は一人もチーターの友人がいないのに対し,チーターの70%はチーターの友人を10%程度持っている.チーター同士は思ったより繋がっている.

チート行為はソーシャルに伝染する

どのようにチート行為は広まるか?これを 1. チート行為がソーシャルネットワーク上で広がる様子の観察, 2. チーターがそのネットワークでどのような位置にいるか の二つの分析で明らかにする.ここまできて読むの諦めた.

チーター認定によるソーシャルな刑罰が存在する

クロールし直した際,普通のプレイヤーの3%がプライバシー設定を変更していたのに対し,チーターは10%近くがプロフィール設定を変更している.これはコミュニティから非難されるのを恐れたためであると考えられる.
では,コミュニティはチーターを罰するのか?六ヶ月の間隔を空けてクロールした所,チーターの44%は友人が減っている(普通のプレイヤーでは25%が友人が減っている).もっと言うと,チーターは増えた分の倍友人を失っているが,普通のプレイヤーは失った分の倍友人を増やしている.
何故このような友人の減少が起こるか,考えられるのは次の三つである(そのうち二つはチーターと関係がない).

  • もうゲームをやってない友人を削除するため
    • 友人数の限界に達しているユーザは少ないため,この説は考えにくい
  • 友人が増えすぎると「***がゲームを始めました」といったポップアップが邪魔になるため
  • 一部のチーターはチート行為を働いたあと,友人たちが自分との関係を切る前に,全ての友人との関係を削除している(social suicide).

こういう調査系の論文,徹底的にやる必要があって大変そう.