Utilizing marginal net utility for recommendation in e-commerce(pdf)
概要
商品推薦に経済学でいうところの「限界効用逓減の法則」を持ち込む.
著者はJian Wang.最近この人の論文ばかり読んでいる.
限界効用逓減の法則
そもそも限界効用逓減の法則とはなにか.
人が得る効用は基本的には財が増えるほど増え続けるわけじゃなく,ある地点から逓減を起こす.
わかりやすい例が食べ放題のお店.最初はお腹が空いてるから食べれば食べるほど満足度(効用)は高まるけれども,お腹いっぱいになるとそこから先いくら食べてもむしろ不快になる.
この法則がレコメンデーションとどう関係あるか.
定番のレコメンデーションは rating,すなわちある商品に関するユーザの評価を予測する問題として定式化される.しかし,商品購買情報を入力として考えた場合には,評価とは異なり,効用が逓減するかを考慮するのが必要になる.
手法
Linear Utility Function
まず,効用が逓減しないモデル,すなわち rating などで用いられる通常のモデルにおいて効用はどのように(暗黙的に)定式化されているかというと次のようになる.
は効用,は商品jの購入個数.商品iの限界効用は購買機会にかかわらず一定なを取ると考えている.
Cobb-Douglas Utility
これでは限界効用が逓減しないので次の式を考える.
これだと無事に減衰する.
Constant Elasticity of Substitution based Utility
Cobb-Douglas Utilityで所望の効用が表現できたかというと,次の二点において不十分.
- 減衰の仕方が商品ごとに固定()であること.これだと繰り返し買う商品か,一度買ったらそれっきりの商品なのかを区別できない.
- basic utility がユーザにかかわらず固定であること.
なので,これらを克服すべく新しい限界効用を導入する.
ここで,は本来はuがiをt回目*1に買った個数だけど,次のように拡張する.
はuがjをt回目に買った個数.はタイトルでの類似度.つまりは似たような名前の商品だったら似たような購買傾向を持つだろうという仮定を導入する.ここでとすると同じ商品しか考慮しない事を示す.
ここまできて eq(7) で効用の式が出てくる.これを変形するとeq(5)になる*2.
ここまできたのでもう一度限界効用について考えると次の式で書くことができる.
ここでは商品の価格.ここだけナイーブに入る.
は上の式だとになっていたところ.basic utility をユーザとアイテムごとに定義したい.
既存モデルへの組み込み
ここでSVDを導入する.ユーザ商品行列をという感じで低次元表現することを考えると,提案するモデルのの部分をSVDを使って
と表現する.つまりはSVDの出力と限界効用の逓減を組み合わせる.
あとはこれを対数尤度最大化で求める.
- 価格の使い方がかなりナイーブ
- 実験にて価格についての言及なし
- future workにもなし
- そもそも問題として扱っていない.項として用いる必要があったのかよく分からない.
- かなり強引にmarginal utilityが入ってる
- この有効性は実験で示されている
- 似た商品を考慮するか否かは実験の章を追う必要がある
- 単純な予測だと同じアイテムのみ(つまりは)とするほうが精度は良い
- re-purchase/new product という二軸に切り分けながら実験を進めて類似商品を用いる必要性を述べる展開になっている