A Method to Anonymize Business Metrics to Publishing Implicit Feedback Datasets (Recsys 2020) 読んだ
企業が持つ implicit feedback のデータを公開するためには
- アクティブユーザ数や収益や平均クリック数といった business metric を隠したい
- 公平性を担保したい
- Population Bias を減らしたい
という三つの気持ちがある.
今回はログ中のユーザをサンプリングして公開用データを構築するわけですが,ユーザごとにサンプリング時の重み w を推定する問題として定式化する.
この時
- business metric を隠すために,サンプリング後のクリック数の分布と特定の分布 (zipf など) との Wasserstein distance を取る
- 公平性のためにサンプリング後のユーザの属性の分布と uniform distribution との KL divergence
- Population Bias 対策でサンプリング後の記事のカテゴリ分布と uniform distribution との KL divergence
- ここで uniform するのが fairness っぽい研究の匂いがする
の3つを重みのハイパーパラメタをかけた線形和を最小にするように を推定する.以上.
よくわからなかったところ
- 数学力が低すぎて 3.4 を読んだだけではどうやって
wを推定していいか全く分からなかった.一番ナイーブな方法はwをただの user の重みとみなして適当にやることですがきっとそういうわけではないだろう.5.4 で Faking Fairness via Stealthily Biased Sampling (AAAI 2020)が言及されていますが査読で何か言われなかったのだろうか - サンプリングの方針としてユーザを選ぶ
sampling userとユーザの行動ログをサンプリングするsampling behavior logの二つがあって本論文では前者が採用されている.後者を採用しない理由は時系列つきのログでよくやる「次に登場するアイテムは何か?」というタスクに対応できないからだと言われているが一部が欠けていても (よほど強烈なマルコフ性などが存在しない限り) できなくはないのではないかと思った - Table 1 の最下段は
2CCの typo だと思う - 4.2.4 にて Zipf(1) における Population Bias を考慮した結果が考慮していない結果とあまり差がない (これは本当に悲しい) 理由がよくわからなかった
- 4.3 で述べられている timestamp の分布が近いみたいな話,いい話ではあるのだけど狙っていないのにどうしてこうなったのかがよくわかっていない
- そもそも「企業が持つデータセットが有用である」とは一体どういう事なのかを考え始めるとよくわからなくなってきた
声優統計コーパスに存在する誤りの告知と JVS コーパスの利用推奨
声優統計コーパスの音素バランス文,および音声データについて告知します.
告知
今後,音声を新規収録される場合には声優統計コーパス付属のバランス文ではなく,句読点情報が付与された JSUT コーパスまたは JVS コーパスの voiceactress100 (以降, voiceactress100 と呼びます) の使用を推奨します.
- 声優統計コーパスのバランス文と
voiceactress100は一部の単語が異なっており,完全な互換性がありません - 上記の理由により,今後,音声を新規収録される場合には声優統計コーパス付属のバランス文ではなく
voiceactress100の使用を推奨します- その際のイントネーションはプロ話者によって発話された JVS コーパスに従うことを推奨します
- 感情表現を活用したい場合,またはプロ話者かつ高サンプリングレートのデータを使用したい場合のみ声優統計コーパスの音声データを用いるのが良いと私たち (日本声優統計学会) は考えます
声優統計コーパスと JSUT/JVS コーパスの関係
1.-i. に関して,声優統計コーパスと JSUT/JVS コーパスの関係について補足します. 両者とも,条件付で自由に利用 (コピー・共有・編集) できるコーパスです.それぞれの関係は
- Wikipedia : CC BY-SA ライセンスにもとづいて本文データを公開
- 声優統計 : Wikipedia のライセンスを継承してバランス文を構築 (翻案・利用)
- JSUT : 声優統計のライセンスを継承して翻案・利用
- JVS : JSUTのライセンスを継承して翻案・利用
です.
声優統計コーパスにおける既知の誤り
1.-ii. について,現在判明している誤りです (ご指摘してくださったつくよみちゃん様,本当にありがとうございました).これらは全て私たちの力不足・確認不足によるものです.
- 「いしつみ」を「いしづみ」と読み上げている音声がある
- 「鎮痛薬」を「鎮痛剤」と読み上げている音声がある
- 「酸素供給」を「酸素配給」と読み上げている音声がある
- 「プロ野球球団の大洋ホエールズ」を「プロ野球球団・大洋ホエールズ」と読み上げている音声がある
- 「漁獲」を「りょかく」と読み上げている音声がある
- 「バファローズ」を「バッファローズ」と読み上げている音声がある
- 「ヴュルテンベルク」を「ヴェルテンベルク」と読み上げている音声がある
- 「謙吉」を「けんいち」と読み上げている音声がある
- 「プルヴァマ」を「パルヴァマ」と読み上げている音声がある
なぜこの文章を書いたか
声優統計コーパスは名称や内容のキャッチーさから (ある程度権利が自由な) バランス文および音声データとして音声研究に詳しくない人にも認知が広がっています.この現状は公開当時想定していなかったことであり,非常に嬉しく思います.
しかしその結果,より適切に品質が管理された JSUT/JVS コーパスに人々が到達しにくくなっていると考えます.特に,音声コーパスを自ら収録する人が増えている現状においては,適切なコーパスへの誘導が重要だと考えました.
最後に,本文章における声優統計コーパスと JSUT/JVS コーパスの関係,および JVS コーパスの利用推奨は JSUT/JVS コーパスの作者である高道慎之介 助教に事前に確認を取り,合意を得ています.
補足
収録当時のことを改めて思い返していたのですが、声優さんも音響スタッフさんも意図を理解してくれてかなり読み間違いには気を遣ってくれていたと思います。それでも話者間での食い違いをゼロにできなかったのは我々の見通しの甘さがあったのは間違いないです。
— メルビィ (@MagnesiumRibbon) 2020年11月1日
音素バランス文をWikipediaから構成するにあたって、全文の読み・音素を最終的に全て目検しました。この時点で相当読み込んでいたので個人的には全文に精通している認識でいましたが、甘かったです。もしあの時点に戻れるなら、一度声に出して全文を音読してから収録に望むでしょう。
— メルビィ (@MagnesiumRibbon) 2020年11月1日
それでも本質的に文の間に意味の繋がりがまったくない謎の文章について一字一音レベルの読みに気を配るのは困難だったと思います。音声コーパスの作成について素人であったとはいえ、一発録りで完成品を作ろうという考え自体に無理があったのだと今では考えています。
— メルビィ (@MagnesiumRibbon) 2020年11月1日
そういう意味ではJSUT/JVSコーパスという形で改善・洗練されたコーパスが作成されたことは我々としてもとても嬉しくありがたいことです。
— メルビィ (@MagnesiumRibbon) 2020年11月1日
声優統計コーパスからの告知です (文面にあるとおり、私も本告知に少し絡んでおります)。声優統計/JSUT/JVSそれぞれに使いどころがあるので、ともに音声界隈を支えていければと思います。
— Shinnosuke Takamichi (高道 慎之介) (@forthshinji) 2020年11月1日
https://t.co/OocsZkbJOh
声優統計コーパスを歌にした PJS: Phoneme-balanced Japanese Singing-voice corpus が公開されました
PJS: Phoneme-balanced Japanese Singing-voice corpus
[2006.02959] PJS: phoneme-balanced Japanese singing voice corpus
Junya Koguchi さんと東大高道慎之介助教によって作成された,音素バランスを考慮した日本語歌声コーパスが公開されました.
このコーパスには声優統計コーパスの音素バランス文を歌詞としてメロディが付与された歌が含まれています.arXiv 原稿の
A native Japanese male in his twenties composed all the songs. He is not a professional composer but has work experience using his singing, composing, and recording skills.
という記述が良い.
握手会が延期になったので「効果検証入門」を読んで Python で (ほぼ) 実装した
ゴールデンウィークの握手会が延期になり気力が完全に尽きてしまい(そもそも2020年のほとんどのイベントが延期または中止になっているわけですが),同じく握手会が延期になった友人と「アイドルとシロクマのことを考えないでください状態になっていてつらい」「何か没頭できる事は無いの」という話になった結果,「効果検証入門」を読んだ.
「どうせ読むのならば短期集中で」ということで,一日目午後に1章と2章,二日目午前に3章,午後に4章,三日目午前に5章のペースで Zoom で交互に節単位を音読しながら進めた.2020年,30歳を過ぎて音読.
感想
数学力が低い自分でわかった気分になれる,非常に参考になった.明日からでも試したい.随所に「実際のビジネスの現場ではこんな滅茶苦茶なことが行われている」という記述が出てくるので考えさせられてしまう.「正しい効果を知るインセンティブとは何か?」に最後の章で触れていたのも良かった.耳が痛い.
脱落変数バイアスの概念はとても面白かったし,Difference-in-Differences はシンプルながら (その分平行トレンド仮定が強力ですが) 試したいと思えた.反対に causalimpact についてはそこまでモチベーションが湧かなかった.十分に学習された予測器にもとづいて何かをする,というのがどうにも受け入れにくい.回帰不連続デザインは話としては面白そうに見えたものの,「単に回帰をする」という話になっていて肩透かしを感じた.
そもそもが本書で紹介されているテクニックはどれも比較的シンプルでありながら多くの仮定のもとに成り立っており, AUC や Prec/Recall のようになんらかの定量的な「確からしさ」が出るわけでなく,セレクションバイアスは正負どちらにも発生するため,非常に扱いが難しいように思う.「今回の施策による効果量は『〜〜〜』という仮定が成立すると考えて計算していますが,『〜〜〜』というバイアスが排除しきれていない事は念頭に置かねばなりません.ですが,何も考えずに推定するよりは確からしいと考えられます」といったように,多くの留保にもとづいて説明するのが因果推論を用いた分析において取るべき態度なのでしょう.
いくつかのトピック,たとえば Conditional Independence Assumption や Post treatment bias や Bayesian Structual Time Series Model や合成コントロールについてはより詳しく知りたくなりました.また,因果ダイヤグラムやバックドア基準という単語も本文には登場しなかったので次はそのあたりを知っていきたい.
次は星野崇宏「調査観察データの統計科学」やPearl「入門 統計的因果推論」や岩波データサイエンス Vol.3や宮川雅巳「統計的因果推論」を読むべきなのでしょうが全部会社に置いたままです.
Python による実装
ybenjo/cibook_by_python にアップロードしました.注意点を書きます.
- タイトルに「ほぼ」と入れたのは以下の実装を行っていないため
- 各種図表の描画
- 4章の
causalimpactを用いた実験 - 5章の Nonparametric RDD の実験
- セレクションバイアスを発生させたメールデータの値が本文と一致せず,かつ,乱数の seed によっては本来の値とは逆のセレクションバイアスが発生してしまう
RDataの読み込みは ofajardo/pyreadr が良かった3.4.4の傾向スコアの推定において本文ではre74とre75の二乗を共変量に追加しているが,実験したところ傾向スコアが著しく悪化したために除外した- 「効果検証入門」をPythonで書いた - Qiitaの人の実装でも含まれていない
- 傾向スコアマッチングは greedy にやってしまった
- 本来ならば二部グラフの最大重みマッチングで解けると思うのですが,Google の OR-Tools の LinearSumAssignmentではなぜか左右の node 数が異なると
INFEASIBLEしか返さなくなり, NetworkX の Hopcroft–Karp も SciPy の maximum_bipartite_matching も上手く動かずに諦めた
- 本来ならば二部グラフの最大重みマッチングで解けると思うのですが,Google の OR-Tools の LinearSumAssignmentではなぜか左右の node 数が異なると
- pandas の使い方が全く分からなくて途中で挫折した.
groupby()してsum()した結果の加工が本当に分かっていない - R と違って欠損のある行を明示的に除外している
誤植・不明点
他の人も指摘しているかも知れないけれどネタバレが怖くて他人のエントリを読んでいない.自分の勘違いも多く含んでいると思う.
- 著者の実装は R を用いているわけですが,目的変数または説明変数に
NAを含んだ場合,その行を除外して推定を行うのがデフォルトの挙動だと思うが,欠損値のある行を消してしまうのは新たなバイアスを産むのではないか - p31
recencyが3より小さい場合は6より小さい場合の誤り - p55
は
の誤り
- 関連して p57 の
はすべて
- 関連して p57 の
- p87
相関が強いと分子は0に近づきは相関が強いと分母は0に近づきの誤り - p108
共変量のバランスにおける平均の差をその標準偏差で割ったのそのがよくわからない.検索したところこの値は Cohen の d と呼ばれているらしい- 自分の実装では一部の共変量がバランスしないままだった.そういうこともあると思いたい
- p141
よって,この分析の結果による効果量はそれらの差分をとって-1,554若しくは-43%ということになりは何に対して-43%なのか,分母は何なのかが明示されていないために分からない p1421853年の〜という記述は全て1854年- 水源の変化が発生したのはやはり1853年なのでこの指摘は誤りと思うが,とはいえ死者数は1854年のものを用いているように思う
- 正確には下記論文にて1853年1854年両方の死者数が記載されている
- 本文中の
D53という変数が誤りなのでは - ここ適切な訂正が欲しいですね
- ジョン・スノウ John Snow 水上茂樹訳 コレラの伝染様式について ON THE MODE OF COMMUNICATION OF CHOLERA (1854),青空文庫にありましたがこの時代にこういう調査をやろうとした John Snow 氏は凄い
- p151
Cigarデータセットの導入が面倒だったので github の著者レポジトリで配布して欲しいと思いましたがライセンスが GPL2 だから無理なのでしょうか- なぜか自分が構築したさまざまな R の環境では
Ecdatパッケージのインストールに失敗し続けた - 最終的に RStudio Cloud 上でデータを抽出
- なぜか自分が構築したさまざまな R の環境では
- p156 著者実装
ch4_did.Rのcausalimpactのselectはdplyr::で名前空間を指定しないとエラーが出る - p176 nonparametric RDD の説明がされておらず,このモデルは一体何を行っているのかが全くわからない
- p180
5.4.1- 二つの施策を行う状況はそもそも RDD と関係無いのでは
- では施策以外で非連続になる状況は何か
声優統計コーパスのバランス文を修正しました & 引用されている論文を列挙しました
音素バランス文の読みの修正
対応が遅れてしまい申し訳ありません.
GitHub の Issue でも指摘されていた (#6および#7) バランス文の読みを修正しました.該当箇所は 020,043,057,076,079,087 の読みと対応する音素です.変更差分はこの commit を参考にしてください.
声優統計コーパスを引用している論文の列挙
また,声優統計コーパスを利用してる論文を検索して列挙しました.名の知れた会議の原稿に y_benjo and MagnesiumRibbon と書かれているのを読むのは気分が良いものです.
- Takaaki Saeki, Yuki Saito, Shinnosuke Takamichi, and Hiroshi Saruwatari. Lifter Training and Sub-band Modeling for Computationally Efficient and High-Quality Voice Conversion Using Spectral Differentials. ICASSP 2020.
- Riku Arakawa, Shinnosuke Takamichi, and Hiroshi Saruwatari. TransVoice: Real-Time Voice Conversion for Augmenting Near-Field Speech Communication. UIST 2019.
- Kento Matsumoto, Sunao Hara, and Masanobu Abe. Speech-like Emotional Sound Generator by WaveNet. APISIPA 2019.
- Riku Arakawa, Shinnosuke Takamichi, and Hiroshi Saruwatari. Implementation of DNN-based real-time voice conversion and its improvements by audio data augmentation and mask-shaped device. ISCA Speech Synthesis Workshop 2019.
- 佐伯 高明, 齋藤 佑樹, 高道 慎之介, and 猿渡 洋. 差分スペクトル法に基づく広帯域声質変換のためのサブバンドリフタ学習. 日本音響学会2020年春季研究発表会.
- 佐伯 高明, 齋藤 佑樹, 高道 慎之介, 猿渡 洋. 差分スペクトル法に基づくDNN声質変換の計算量削減に向けたフィルタ推定. 日本音響学会2019年秋季研究発表会.
高道さん以外の研究室でも使われているのを見かけて驚きました.
引用先を arXiv にしたい
しかし今更になって思うのですが引用先をホームページにするのではなく arXiv などの原稿にしておけば引用件数が Google に拾ってもらえたのではないでしょうか(検索結果に 被引用数 が表示されて欲しい).今からでも間に合うのでしょうか.誰か arXiv への投稿を承認してくれる人を探さなければならない.この日記を読んでいる承認可能で「承認してもいい」という奇特な方はご連絡ください.
ここまで書いたところで「そもそも arXiv は実名で無い名前で原稿を投稿できるのだろうか」と思い調べたところ
It is a violation of our policies to misrepresent your identity or organizational affiliation.
Claimed affiliation should be current in the conventional sense: e.g., physical presence, funding, e-mail address, etc.
Misrepresentation of identity or affiliation, for any reason, is possible grounds for immediate and permanent suspension.
とあるので y_benjo and MagnesiumRibbon 名義で原稿を投稿するのは無理ということが分かりました.誰か回避策をください.
Google Dataset Search への対応
これは些細なことですが, Google の Dataset Search に反映されるように schema を書きました.早くクローラに検出されたい.
Synthesizing Tabular Data using Generative Adversarial Networks (preprint) 読んだ
[1811.11264] Synthesizing Tabular Data using Generative Adversarial Networks]
GAN を使って表形式のデータを生成する論文は既に読んだわけですが,その発展形. 著者らによる実装も公開されており(DAI-Lab/TGAN: Generative adversarial training for synthesizing tabular data),実装を試した人もいる(テーブルデータ向けのGAN(TGAN)で、titanicのデータを増やす - u++の備忘録).
前述した tableGAN との違いは CNN を用いずに LSTM を用いていること,交差エントロピーを用いるのではなく KL divergence を使って周辺分布を学習していることの二点.
データ変換
データが 個の連続値の変数
と
個の離散値の変数
で構成されているとし,各行の各列についてそれぞれが連続値の変数なのか,離散値の変数なのかを区別して話を進める.
連続値の変数について
多くの場合連続値の変数は多峰 (multimodal) である.なのでそのまま表現せず,次のような手続きを踏む.
に変換する
- それぞれの変数について混合数
のGMM (Gaussian Mixture Model) を学習し,平均
および標準偏差
を得る
番目の変数の
列目の値
が GMM の各要素から得られる確率
を得る
を
とする.この時
である.その後
を
] に clip する
一言で言えば連続値の変数を 個の正規分布でクラスタリングし,一番当てはまりが良い分布に関する情報を持つ.論文では
とし,もし単峰の変数だったとしても
個の正規分布に対する重みがゼロになるから構わないとしている.この手続きの結果,連続値の変数
を
と
の
次元で表現する.
離散値の変数について
列目の離散値の全要素を
として離散値
を one-hot encoding して
とする
の各次元
に
なノイズを加える
を確率に正規化する
これら二種類の処理により, 次元のデータは
次元に変換される.
また,これから説明する GAN は上記の を生成するわけですが,本来の値に戻すには次のように変換すればいい.
- 連続値
- 離散値
生成
Generator には LSTM を使う.LSTM を使う理由は we use LSTM with attention in order to generate data column by column. としか書かれていないが,気持ちを汲み取ると各変数間の相関などを陽に考慮したいからだと思う.
LSTM の出力を として hidden vector
を求め,更に
として各変数を出力する.その後,
ステップの LSTM に
を渡す.連続値の場合は
を得,次に
を得る.また,離散値の場合は
ステップにはそのまま渡さずに
] として渡す(
は
次元の embedding).
Discriminator には mini-batch discrimination vector 入りの MLP を用いる(Generator が LSTM なのだから Discriminator も LSTM で良かったのではないか).
通常の GAN の損失関数に加え, Generator 側の損失関数について連続値変数 に関する KL divergence
と離散値の変数そのものの KL divergence
を追加することで学習が安定するらしい.
実験
評価は三種類.
- 学習を生成したデータ,予測対象を元データとした時にどの程度精度を保つことができるかの Machine learning efficacy
- 前回の論文で model compatibility と呼んでいたもの
- 「変数間の相関が保存されているか」の検証として,連続変数を離散化して変数間の normalized mutual information を計算し描画
- 「真のデータにどれほど近いか」の検証として,学習データとテストデータまたは生成データ全対の距離のヒストグラムを描画
Data Synthesis based on Generative Adversarial Networks (VLDB 2018) 読んだ
[1806.03384] Data Synthesis based on Generative Adversarial Networks
匿名化については micro aggregation (各行を集約することで架空の行を生成すること) や post-randomization (ノイズを載せる) などがあるわけですが, GAN でデータを生成すれば完全な匿名化 (Generator があまりに賢くなりすぎて元データと全く同じものを生成しない限り) が実現できる,というアイデアにもとづく論文.
匿名化および GAN による生成の対象は Kaggler では「テーブルデータ」と呼ばれる 1 行 1 データ.つまりネットワークは表形式のデータの各行を生成する.同様の GAN には後発の TGAN ([1811.11264] Synthesizing Tabular Data using Generative Adversarial Networks) が存在し,実装も公開されている.後者では LSTM を用いたより複雑なネットワークを提案しているが,特に匿名化については言及していない.
実験結果について理解できない記述が多い.査読者はちゃんと読んだのか疑問に思う.もしくは匿名化に関して知見や興味のある査読者がいなかったのではないかと思う.
- 以下の問題意識が念頭にある
- 生成したデータにおいて平均や分散といった統計量を保存したい
- 変数間の整合性を保ちたい.たとえば身長 170cm なのに体重 30kg のデータが生成されると困る (十分に Generator が賢ければ避けられるのではないか)
- membership attack に備えたい (とはいえモデル中で陽に備えるわけではない)
- 生成対象の各行は 0 埋めした状態で正方形に形を変え,画像として扱う.いってしまえば MNIST の学習のような問題に落とす
- 提案手法である table-GAN を次の 3 モジュールで構築する
- Discriminator D : データの真偽を判定する
- Generator G : 偽のデータを生成する
- Classifier C : データの一部を
labelとして (たとえば年収が平均値以上か否かの二値変数),真のデータで学習して偽のデータを判定させる.これによって変数間の整合性が保たれる (と著者らは主張しているが, classifier はxとyの整合性を考慮するのであってx_iとx_jの整合性が保たれるわけではないのでは?)
- 損失関数を次の 3 項で構成する
- original loss : 本来の GAN の損失関数である D と G の間で発生する損失
- information loss : Discriminator D に真偽それぞれのデータを通して得られる最終層の dense vector の平均および分散の L2 norm.ここが一致していると平均および分散が保存されている (らしい.特定の minibatch における平均と分散を保存するのは難しいように思える).ここで hinge loss を導入して生成されるデータの品質 (どの程度真のデータに近づけるか,あるいはプライバシーを保護するか) をコントロールする
- classification loss : Classifier C の損失
- GAN に対する membership attack について考える.攻撃者が Generator G にのみアクセスできる状況において,当該 GAN を学習したデータに特定のデータが含まれているか否かの推定を以下の手続きで行う
- G から大量のデータを生成する
- その一部を使って複数の GAN を学習する
- それぞれの GAN の Discriminator D に対して
- 学習に使った生成データ
xを通してD(x), inというデータを得る - 学習に使ってない生成データ
xを通してD(x), outというデータを得る- 論文ではこの負例側を元の GAN の学習に使っていないデータを用いており (
In our case, we use the test set prepared for the model compatibility test.) ,実際の検証としては不適切である (攻撃者が元の GAN の学習データを知っているという状況がおかしい).
- 論文ではこの負例側を元の GAN の学習に使っていないデータを用いており (
- 学習に使った生成データ
- 上記データを全て結合して
in/outを学習することで membership attack を実現する- GAN の GAN の精度はどのようなものでしょうか
- いくつかの方法で検証を行う
- 実データと生成データの累積分布を見る
- 実データと生成データそれぞれで構築した学習器での回帰および分類の精度を検証する (model compatibility の検証).これは「もし生成したデータが十分リアルならば,生成データで学習したモデルで元データの予測もうまくいくはず」という過程にもとづいている
- 上記 2 項目については散布図を示すのみであり,「見ればわかるだろう」と言わんばかりに定量的にどの程度優れているか全く言及していない.確かに見ればわかりますがこんな雰囲気だけの結果でいいのか.
- 元のデータに対してある匿名化されたレコード
rとのユークリッド距離が最も近いレコードを検索し,その時のユークリッド距離 を DCR (distance to the closest record) と呼ぶ.DCR = 0.0 の場合元レコードと完全に一致しているので leak である,としている (この leak の定義がまず受け入れがたい.Quasi Identifier がわからなければそれ以外の値がどうなろうとどうでもいい話ではないか).各種匿名化手法について複数のレコードについて DCR を計算し,その平均と標準偏差を確認する- 反対に言えば, DCR が小さければ小さいほど真のデータに近いことを意味している?
- と思ったが
It is preferred that the average distance is large and the standard devision is smallと書かれており,標準偏差が小さい方が嬉しいことはわかる (むらなく一定の品質で匿名化できていることを意味する) が平均距離が大きいほうが良い理由がわからない.DCR はデータの確からしさとプライバシー保護とのトレードオフなので一概にpreferredとは言えないのではないか? - Table 5 を見る限り low-privacy な table-GAN が high-privay な table-GAN より DCR の平均値が小さい.それはそう
- そもそもベースラインに設定している匿名化ツール ARX に関する記述が理解できないし,ベースラインとしてアンフェアな使い方をしているのではないか
- 「ARX は micro aggregation するが sensitive attribute を変化させない.よって sensitive attribute に絞って最近傍探索を行うと DCR の平均と分散が 0 になる」と言及されている (そもそもの話として各データは職業や年齢,郵便番号といったそれらの列の値の組合せによって個人を特定しうる
Quasi Identifierと,給料や疾病の状態 (十分 Quasi Identifier ではないか?) といったそれ以外の情報の列であるsensitive attributeのふたつから構成されている). - しかし,ツールの理念として Quasi Identifier のみを匿名化するのならば sensitive attribute がいくら leak しても困らないはずであるし (そもそもそれを leak と呼ぶのか?),その時に DCR が完全に一致することは統計量が保存されているわけであり非常に望ましい性質ではないか
- もし sensitive attribute が真に sensitive であり, leak して困るのならば sensitive attribute も含めた全ての列を Quasi Identifier とみなして k-anonymity を満たすように aggregate すべきではないか
- 「ARX は micro aggregation するが sensitive attribute を変化させない.よって sensitive attribute に絞って最近傍探索を行うと DCR の平均と分散が 0 になる」と言及されている (そもそもの話として各データは職業や年齢,郵便番号といったそれらの列の値の組合せによって個人を特定しうる
